ことり通信

地域ならではのすてきなものや旅のことをつらつらと

世界一周ゼミ@旅大学 後半戦レポート

全4日間にわたる旅大学の世界一周ゼミが、7月6日に終わりました。
前回の旅大学の記事(6月24日付)からしばらく時間があいたのは、これからご紹介する3日目のゼミで、大きく影響された面があったからです。
ここでは、3日目と4日目の最終日について振り返ろうと思います。

世界一周ゼミ3日目のテーマは「旅とキャリア」でした

3日目も、前回と同様に4~5名に分かれて、 自己紹介とブレストからスタートしました。テーマは「旅先で海外の人と仲良くなるためにできること」や「旅の価値とは何か?」でした。

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ブレストの進行をするミッチーさんは、水を得た魚?に見えます・・

TABIPPO代表しみなおさんの登場

早々にミッチーさんが退場すると(体調不良で本当に退かれたそうです)、ここで「しみなお」さんこと、清水直哉代表が登壇。トーク予定の「旅とキャリア」は、世界一周ゼミを申し込んだ時から1番気になっていたテーマでした。結果を言うと、内容は予想以上のものでした。

私たちは、世界一旅しやすい国に生まれ、旅ができる時代に生きている

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しみなおさんは、最初に「180か国」という数字をあげました。これは2018年時点で、「日本のパスポート所有者がVISAなしで行ける国数」だそうです。上位の国に若干の変動はあるものの、下位の国々が20数か国しか行けないことと比べると、とてもありがたい数字だと分かります。世界各国から日本が信用されている証拠です。

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日本はVISAなしで渡航できる国ランキング1位(2018年)

次にあげた数字は「23」。日本人のパスポート所有率だそうです。随分低いと感じませんか?私を含めほとんどの参加者が、驚きの声をあげていました。
日本で海外旅行が自由化されたのは、前回の東京オリンピックが開催された1964年です。まだ55年しか経っていないことを考えると、自然でしょうか。個人的には、島国に住むゆえに必要がなかったことと、語学が関係していると思っています。

「180」と「23」。2つの数字を振り返って、今日本人として生きている私たちは、「世界一旅しやすい国に生まれて、旅ができる時代に生きている」ことを、しみなおさんは気づかせてくれました。

世界を旅すると人生に悩む。旅を終えても人生は続く。

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しみなおさんの人生紹介

世界一周ゼミの参加者は、目的は様々ながら、世界を旅する目標や夢を抱いています。世界一周経験者が創業したTABIPPO代表のしみなおさんも、もちろん世界一周を経験しています。90日間で16か国を回った世界一周の旅で、人生が変わったそうです。「だから、かなりコスパのいい世界一周」と振り返りながらも、旅にはそれだけの力があるのだと話していました。そして、自分と同じような旅人が、旅をしたことで人生に悩んでいく姿も見たのだそうです。
世界を見ると色々な生き方を知ります。今までの人生観や価値観が揺らぎます。選択肢の多さに気が付きます。そこで悩むのは当然の流れ。だから、できるだけ悩むことがないように心づもりを知ろう、旅後の人生を考えてみよう、と話は続きました。

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多様性・HOWを知る・価値基準と向き合う

世界へ行くと分かることであり、大切にしてほしいことがこの3つだと、しみなおさんの話から私は理解しました。
多様性=日本には他民族がいない、パスポート所有率の低さから分かるように海外へ行かないため、世界へ行くといかに自分が狭い世界にいるかを知る。例えば、無宗教なのは日本を含め世界に6か国しかない。常識なんてないことに気付く。
HOWを知る=人生は何をしたいかではなく、どんな風に生きたいかを考える。世界へ行って知る、あらゆる生き方、あらゆる方法を、「どんな風に」の視点に活かす。
価値基準と向き合う=自分にとっての幸せは何かを決めること。人間はみんな幸せになりたいと思ってるけれど、世界で幸福度の統計を取ると日本は下位であることがほとんど。基準が違う3つの幸福度統計調査では、フィジーブータン・北欧の国々が1位。

お金について考えよう

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3つ目の「価値基準と向き合う」ときに、お金は切っても切り離せない存在です。幸福度統計調査で上位に挙がったフィジーブータンは、経済的には裕福ではありません。それでも、自分たちは幸せだと感じている人の割合が多い国です。そこで、お金と幸せの関係を考えるために、「お金とは何か」をグループディスカッションする時間が設けられました。「人の為になることをしたらもらえるもの」や「ものの価値をはかる基準」など、様々な意見が発表されます。
でも、明確な答えはありません。ただ「しっかりお金と向き合っておくことは、自分の幸せを考える際に不可欠」という視点は、忘れずにいようと思わされました。

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変化が速いVUCAの時代に生きる私たち。価値観の異なる世代が次々と生まれる。

人とは違うことをすることは怖い

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旅をすることの意義を伝えてきた世界一周ゼミですが、しみなおさんが最後に話したテーマは「人と違うことをするのは怖い」でした。多くの参加者が胸に抱く世界一周は、日本を長期間離れることで、人によっては会社を辞めることです。これらは、人があまりしないことです。同調傾向の強い日本ではことのほかです。
しみなおさんは続けました。「でも、人と違うことをするのは、社会を相対的に見た時に価値がある。情報があふれる時代だからこそ、リアルな体験の価値は相対的に見て高い。『価値=希少性×便宜性』だと思ってるんです」。
海外へ行きたいと思いながらも、仕事や年齢などを理由に動けなかった私には刺さる言葉でした。不安で足元がぐらつく体をぐっと支えてくれる視座をもらえた気がしました。この言葉に背中を押され、最終回となる4日目を前に私は1つのことを決めました。それが、香港へ一人旅に行くことでした。
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世界一周ゼミ最終回(4日目)は、発表会(≒プレゼン大会)!!

7月6日の最終回は、前々から予告されていた通り、参加者全員による発表会でした。具体的なプランがある人は「自分らしい世界一周」、そうでない人は「自分にとっての旅」や「自分にとっての幸せ」など、世界一周ゼミに参加したからこそのテーマで、各々趣向をこらした形式での発表となりました。
以前は参加者全員の前に一人ずつが登壇して発表していたそうですが、今回はグループに分かれての発表に変更したとのこと。いつものように、3~5名ほどに分かれた中で各々が発表し合い、メンバーを入れ替えて3回繰り返しました。これで、自分以外の8名~12名の発表を聞くことができます。


発表スタート!

私が一緒になったグループで、印象になった方の発表を写真に撮らせてもらったので、ご紹介します。

最初に同じグループになった方は、紙芝居形式でした。かわいらしい手書きのイラストに、一瞬で目が釘付けに。



別の方も気持ちのこもった手作り発表。行ってみたい世界の絶景を切り抜いて、見せてくれました。

20歳の頃から世界に憧れていたけれど、なかなか行けずに年を重ね・・・。でも、ニュージーランドに行ってみたことで、「自分も行ける」と自信がついて、世界一周を心に決めたと話してくれました。ただ憧れて行動しないのではなく、何か動いたことで変わったという経験談、とても力づけられました。


2回目のグループで一緒になった方は、全体的にやわらかいタッチながら、芯のある発表内容でした。

「なぜ自分は世界一周をしたいのか」、「自分らしさとは何か」、「自分はどう生きたいか、そのためにやっていること」等々。この日までのゼミでディスカッションした事柄を、自分の中で掘り下げて考えた結果などについて話してくれました。真摯に自分と向き合い、考えを整理したことが伝わってきて、「素敵な人柄がにじみでているなぁ」と感じたのは私だけではないはずです。

みんなの支持を集めた人を発表

最後に、自分が聞いた発表の中で良かった人2名を、司会のミッチーさんに、こそっと伝える時間が設けられました。


票が分かれて、4名の方が選ばれました。最初のグループで一緒だった紙芝居の方のほか、個性的な発表があったようです。と言いますか、別のグループにいながら、いつも美声が聞こえていたので、みんなが予想していたのでは。

歌(≒ミュージカル形式)で発表をした女性は、最速で名前が呼ばれました。私も目の前で聞いてみたかったですが、部分的には聞こえていました。他の2名は、「旅×居場所」をテーマに話した男性、「書道とからめた旅」について話した女性でした。

選ばれし4名には、発表会終了後の交流会でお寿司のご褒美があるとのアナウンス。ピザとポテトで空腹をやりすごしていた参加者から、羨望のまなざしが向けられたのは言うまでもありません。



世界一周ゼミは、やっとお互いのことが分かってきた4回目で終わりました。「名残惜しいな」と思ったのは、きっと参加者全員だったのでは。
「でもね、これから始まるから、いつも。」とのミッチーさんの言葉通り、最終回後も交流は続いています。誰かが言っていたように、最終回がスタートなのかもしれません。
私自身は、ひとまず香港へ一人で旅することを軸に発表しました。旅の準備に追われ、発表はお粗末な出来でしたし、他の人と比べるとスケールの小さな内容だったと思います。それでも、自分にとっては大きな一歩です。これからも悩んで心配してしまう自分がいると思いますが、上手にコントロールしながら、海外への思いを形にできるよう、1つ1つ前へ進もうと思います。


香港一人旅の記事はこちら
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